国交省 公共工事基準賃金引き上げ 全国平均で4.9% 配管工は1.3%上昇
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国土交通省は、2月から適用する公共工事設計労務単価(労務単価)を全職種全国平均で昨年2月比4.9%引き上げた。労務単価は2013年4月に過去最大の引き上げ(前年度比15%アップ)を行ったあと、14年2月に7.1%、15年2月に4.2%それぞれ引き上げ、今回さらに上積みした。これにより、ピークの97年度(1万9121円)の9割程度に回復した。同省では建設技能者の賃金改善をテコに人手不足解消、若年技能者の入職を促す。
公共工事設計労務単価は公共工事などに従事する建設労働者の基準賃金。国交省、農林水産省が所管する公共工事に従事した労働者に対する賃金支払い実態調査に基づき設定するもので、公共工事の工事積算に適用される。ただ、下請契約での労務単価や雇用契約での労働者への支払い賃金を拘束するものではない。今回の新労務単価は昨年10月の調査結果に基づき設定された。
建設業界は、景気回復に伴う受注増に東日本大震災復興需要が加わって技能労働者の不足が深刻化している。原因は、長期建設不況により他業界に比べて賃金が低く抑えられ、小規模企業では社会保険(雇用・健康・厚生年金)未加入業者が多いこともあって若年労働者の入職率が低下し続けてきたことが指摘されている。
このため国交省は、13年度(13年4月)に労務単価を大幅に引き上げたあとも今回を含め3回にわたり引き上げを実施した。今回の引き上げについて同省は、労働市場の実勢価格を反映するとともに、社会保険未加入の建設作業者の加入促進に向けて必要な法定福利費相当額を盛り込んだとしている。
2月から適用する新労務単価は全職種、全国平均で昨年2月比4.9%アップの1万7704円、東日本大震災被災3県(岩手・宮城・福島)の全職種平均は昨年2月比7.8%アップの1万9457円となった。
「配管工」の労務単価をみると、97年度の1万9655円をピークに下降を続け、12年度はピークの76%の水準にまで下落、過去10年間で最低となっていた。13年度にようやく前年度比13%増へ、さらに14年2月に5.7%、15年2月に1.1%それぞれ引き上げられた。
今回の全国平均1.3%の引き上げで、最も高い東京都で2万500円、次いで千葉県の2万300円となった。茨城、栃木、三重3県が2万円台に乗っており、主要都市圏では愛知県が1万9800円、神奈川県が1万9700円、大阪府が1万9200円など。
配管工の労務単価は関東から西へ行くほど低く、近畿以西では中国地方が1万6400円~1万7100円、四国が1万7100円~1万8300円、九州が1万5600円~1万6600円となっている。
配管関連業種である空調配管工事の「ダクト工」の全国平均は1万7725円で、昨年2月比1.7%上昇した。ダクト工の単価は関東、中部、近畿地区が相対的に高く、九州地区が低い。
配管保温保冷工事の「保温工」は1万9919円で、同0.3%の上昇にとどまっている。保温工の単価は関東で高く、中国、九州で低い。なお「保温工」については四国地区で十分な有効標本数が確保されなかったため、新労務単価は設定されていない。
管材新聞 2016年2月3日 第1656号より抜粋
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