16年度設備投資計画 大企業で5年連続増加
日本政策投資銀行がまとめた大企業(資本金10億円以上)の全国設備投資計画調査結果(6月調査)によると、2016年度の国内設備投資計画は製造業が牽引し、全産業で前年度実績比10.9%増の17兆5128億円、5年連続の増加となった。製造業では輸送用機械のモデルチェンジに向けた投資や化学の新素材向け投資、非製造業では運輸、不動産などで都市機能強化の投資が続くとしている。
調査結果(前年度比較対象可能2077社)では、製造業の16年度国内設備投資計画は6兆6642億円、前年度実績比14.5%増と高い伸びを示した。精密機械を除く主要業種で前年を上回る。
15年度に前年度比マイナスだった食品(5.0%減)は、生産合理化や乳製品・畜産加工品などの新製品対応投資などにより16年度は22.4%増加する。同じく石油(15年度20.4%減)は、製油所における維持補修、合理化や発電事業向け投資があり、30.1%増、鉄鋼(同2.8%減)もコークス炉の改修や設備更新・集約投資の増額により、14.5%増となる。
化学(同0.9%増)は、医薬品と化粧品・衛生品関連が増加するほか、研究開発投資が幅広い分野で引き続き増加することから26.8%増で3年連続増、窯業・土石(同13.3%増)は、セメントが減少するものの、自動車向け部材が大幅増となり、13.6%増で4年連続増となる。
自動車(同16.2%増)は、環境・安全・快適性を高める新技術を活用したモデルチェンジ対応や生産効率化に向けたライン改革を中心に増加し、15.2%増で5年連続の増加。
非鉄金属(同30.8%増)は、自動車、電子機器向けの能力増強や維持補修の増額により、33.4%増となる。一般機械(同11.6%増)は、航空機、自動車向けの能力増強に加え、工場自動化・ネットワーク化の取り組みも幅広くみられることから8.5%増加する。
電気機械(同32.5%増)は、車載向けなどの電子部品を中心に製品高度化がみられるものの、能力増強の反動減で0.9%増、精密機械(同22.5%増)は、医療用機器は新製品、研究開発投資が増加するが、半導体製造装置や計測器が減少するため、0.5%の微減となる。
非製造業の16年度国内設備投資計画は10兆8486億円、前年度実績比8.8%増で、通信・情報を除く主要業種で前年を上回る。15年度に前年度比マイナスだった卸売・小売(8.9%減)は、スーパーなどの新店・既存店投資、コンビニの出店ペース回復などにより、15.5%増加、不動産(15年度6.1%増)は、都心部大型開発案件の投資を主体に10.4%増で4年連続の増加。
運輸(同13.1%増)は、鉄道で高速化・安全防災対策が増加するほか、物流施設整備が継続することから15.1%増で5年連続の増加、サービス(同19.6%)は、ホテルの建替・改装が増加するほか、テーマパークのアトラクション整備などにより、24.1%増となる。
通信・情報(同13.8%)は、固定通信やLTE基地局整備の続落により、3.5%減で3年続けて減少する。
一方、海外設備投資(前年度比較対象可能928社)は全産業で4兆680億円、前年度実績比1.3%減となる。製造業(前年度実績比4.7%減)は、化学、非鉄金属が増加するものの、石油が大幅に減少する。電気機械と自動車はほぼ横ばい。非製造業(13.2%減)は不動産が増加し、鉱業、運輸が伸び悩む。国内投資の伸び率が海外を上回ることで、海外/国内設備投資比率は3年連続で低下する。
管材新聞 2016年8月24日 第1676号より抜粋
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