17年の環境産業市場規模 過去最大の105兆円超 経済・雇用への影響増大
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環境省はこのほど、環境産業の市場規模・雇用規模などの推計結果をまとめた「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(2017年版)」を公表し、同年の環境産業市場が前年比約0.9%増の105兆4495億円と過去最大規模となった。2年連続で増えており、環境産業がわが国に与える影響は一段と増してきた。
環境産業を「供給する製品・サービスが環境保護および資源管理に直接・間接的に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献する産業」と定義して推計したもの。具体的には「環境汚染防止」「地球温暖化対策」「廃棄物処理・資源有効利用」「自然環境保全」の四つの分野に分けられる。
報告書によると、17年の環境産業の市場規模は前年比約0.9%増の105兆4495億円と、過去最大規模となった。16年は前年比3.6%増に伸びており、2年連続して増加した。2000年と比較すると約1.8倍に拡大し、全産業に占める環境産業の市場規模の割合は00年の6.1%から17年には10.3%まで上昇し、環境産業がわが国経済与える影響は大きくなっている。とくに、クリーンエネルギー利用や省エネルギー化など地球温暖化対策分野の市場規模が拡大している。
4分野別にみると、「地球温暖化対策」は前年比約8.8%増の35兆9917億円。近年の動きでは、04年以降の「低燃費・低排出認定車」「ハイブリッド自動車」などの成長による「自動車の低燃費化」分野が増加し、12年以降は固定価格買取制度などによる「太陽光発電システム」などの再生可能エネルギーに関する市場の急成長に伴い、「クリーンエネルギー利用」分野が大きく増加した。さらに、17年は「省エネルギー建築」が大きく増加した。
大気汚染防止、下水・排水処理、土壌・水質浄化、環境経営支援、化学物質汚染防止などの「環境汚染防止」は、前年比約0.5%増の11兆3919億円。05年以降は大気汚染の抑制に寄与する「サルファーフリー(低硫黄)のガソリンと軽油」を新たな推計項目として加えたため、「化学物質汚染防止」分野が増加してきた。17年は「大気汚染防止」に含まれる「自動車排気ガス浄化触媒」の増加が目立つ。
一方、市場規模が縮小傾向にある分野もみられる。最大規模の「廃棄物処理・資源有効利用」がそれで、前年比3.9%減の49兆6150億円にとどまった。08年まで増加を続けたが、09年の景気減速の影響を受け落ち込み、以降は増減を繰り返し、17年は「資源、機器の有効利用」に含まれる「リフォーム・リペア」が大きく減少に転じた。
また、持続可能な農林水産業や水資源利用など「自然環境保全」も前年比1.0%減の8兆4509億円。09年以降、増加傾向にあったが、17年は持続可能な農林水産業および環境保護意識向上の減少に伴い、再び減少に転じた。
17年の環境産業の雇用規模は前年比微増ながら、過去最大の277万8984人となり、00年との比較では約1.5倍を示している。「環境汚染防止」「廃棄物処理・資源有効利用」「自然環境保護」の分野が減少したが、「地球温暖化対策」分野で約12%増と大きく増えている。
17年の環境産業の輸出額は前年比8%増の約14.7兆円で、大部分を「地球温暖化対策」分野が占め、その中でもとくに「低燃費・低排出認定車(輸出分)」、「ハイブリット自動車」の占める割合が大きくなった。
環境産業の輸入額は1%増の3.9兆円。大部分を「地球温暖化対策」分野が占め、その中でもとくに「再生可能エネルギー発電システム」「省エネルギー電化製品」「エコカー」の占める割合が大きくなった。
管材新聞 2019年7月10日 第1778号より抜粋
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