中小企業の設備 投資意欲減退局面へ
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商工組合中央金庫の今年1月時点の「中小企業設備投資動向調査」で2016年度に国内設備投資を計画(16当初)する企業の割合が15年度の当初計画(15当初)を上回っていたが、このほど発表した7月時点調査の修正計画(16修正)では7年ぶりに前年度の修正計画(15修正)を下回った。投資金額ベースでみると、「16修正」は前年度実績(15実績)比約26%減少し、製造業で約30%、非製造業で約24%減少するなど産業界全体に設備投資を抑制する動きが強まっている。
調査は全国の中小企業5170社から有効回答を得て分析した。それによると、16年度に設備投資を計画(修正計画)する企業の割合(16修正)は42.7%で、15年度修正計画(15修正)43.6%を7年ぶりに下回った。
製造業は52.7%で、修正計画としては2年続けて50%を超えたものの、前年(53.4%)を7年ぶりに下回った。非製造業は37.4%で、こちらも前年の修正計画(38.0%)を7年ぶりに下回った。
投資金額では「16修正」を「15実績」と比較すると、26.3%減となり、製造業(29.4%減)、非製造業(23.8%減)とも減少している。
「16修正」で設備投資「有」企業の割合が全産業平均(42.7%)を上回った業種は食料品、紙.パルプ、化学、窯業・土石、鉄・非鉄、金属製品、一般機械、電気機械、輸送用機械、精密機器、運輸業飲食店・宿泊業の12業種。このうち、輸送用機械(63.5%)、金属製品(60.8%)、化学(60.4%)、紙・パルプ(58.8%)、運輸業(58.5%)、精密機(58.1%)などの業種で設備投資意欲が高い。
一方、全産業平均を下回ったのは繊維、木材・木製品、印刷、建設業、卸売業、小売業、不動産業、サービス業、情報通信業の9業種。とくに、情報通信業(22.2%)、卸売業(24.1%)、不動産業(29.1%)はかなり低い水準にとどまった。
「16修正」の設備投資目的の上位は「設備の代替」(45.3%)が最多で、以下「増産・販売力増強(国内向け)」(27.5%)、「維持・補修」(26.6%)となっている。「15実績」と比べ、「新製品の生産」が若干増加し、「設備の代替」がやや減少した。
「15実績」から「16修正」まで2年続けて増加しているのは「増産・販売力増強(国内向け)」「新製品の生産」「増産・販売力増強(輸出向け)」で、2年続けて減少しているのは「地球環境への対応」「設備の代替」。
設備投資を金額ベースでみると、「16修正」は「15実績」比26.3%減少となっている。製造業が29.4%減、非製造業が23.8%減。
設備投資「無」の企業では、「15実績」、「16修正」とも「現状で設備は適正水準」(15年64.4%、16年65.3%=複数回答)と答えたところが最も多かった。「景気の先行き不透明」(21.8%、23.6%)、「業界の需要減退」(11.8%、12.6%)も引き続き多い。
また、「現状で設備は適正水準」とする企業は「14実績」から「16修正」まで2年続けて割合が徐々に上昇していることをみると、設備に過不足ないため投資の必要性を感じていない企業が増えつつあることを示している。
「必要な人材が確保できない」を投資しない理由にあげているのは「14実績」「15実績」「16修正」とも7%超の高い水準を続けており、人手不足が設備投資の制約となっていることもうかがえる。
なお、「15実績」は52.7%と、3年続けて50%を上回ったものの、6年ぶりに「14実績」に届かなかった。製造業は65.6%と6年連続で「14実績」を上回ったが、上昇幅は1.6ポイントにとどまった。非製造業は45.9%で「14実績」から1.4ポイント減少し、6年ぶりに前年を下回った。
「15実績」を業種別にみると、輸送用機器(設備投資有84%)、食料品(同71%)など14業種が50%を超えた。しかし、情報通信業(同26%)、卸売業(同29%)など7業種は50%以下にとどまった。
「15実績」の設備投資目的の上位は「設備の代替」(46.5%)、「増産・販売力増強(国内向け)」(27.1%)、「維持・補修」(26.6%)で、「14実績」に比べ、「増産・販売力増強(国内向け)」が増加し、「情報化関連」「地球環境問題への対応」が減少した。
管材新聞 2016年10月26日 第1682号より抜粋
PC
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