16年上半期 造船受注が激減 重量前年の2割にダウン
公開日:
:
業界ニュース
わが国の造船受注が激減している。日本船舶輸出組合がまとめによる2016年上半期(1~6月)の造船受注(輸出船契約)は、総トン(GT)ベースで前年同期実績の2割程度にまで落ち込んだ。大きく伸びた15年(暦年、前年比50%増)から様変わりし、造船業界は近年にない危機に陥っている。造船業界では得意としてきたバラ積み船から小型コンテナ船、中型タンカーなどにシフトし、活路を開こうとする動きが出てきた。
わが国の造船受注は12年まで長期低迷が続いたが、13年になって円高是正などで受注環境が好転して大幅回復、14年も堅調に推移し、15年には前年比50%増と好調に推移してきたが、今年に入って急激にダウンした。
月ごとの受注を重量(総トン)ベースでみると、15年11月前年同月比3倍強、12月同1.9倍のあと、16年1月は同90%減に急降下、2月同38%減、3月同49%減、4月同81%減、5月同80%減、6月同65%減と、すべて前年実績を大幅に割り込んだ(同組合の輸出船契約実績は組合員会社が契約した500総トン以上の鋼船が対象)。
16年上半期の受注を船種別にみると、日本の造船会社の8割以上が建造してきた主力のバラ積み船は重量ベースで前年同期比約8割減(391万8540総トン減)の107万9250総トンにまで激減した。隻数でも約8割減(92隻減)の26隻にとどまった。油送船も重量で約8割減(335万4900総トン減)の92万1500総トン、隻数で約8割減(47隻減)の13隻であった。前年同期に15隻、156万5388総トンの受注があった貨物船の受注はゼロであった。
この結果、16年上半期の受注量は重量で前年同期実績の2割弱程度の水準の200万750総トン、隻数で2割程度の39隻にまで落ち込んだ。
16年上半期の通関実績は、バラ積み船が144隻、589万7648総トン、油送船が20隻、100万6268総トン、貨物船が10隻、56万3850総トン、その他を合わせて177隻、761万5312総トンであった。
造船各社は主力のバラ積み船から小型コンテナ船、ガソリン・軽油のプロダクトタンカーなどにシフトし、活路を開こうとする動きもみられる。また、国土交通省は、ASEANや新興国を中心に商船隊整備案件やメガフロート技術を用いた海上施設案件の大型案件を官民連携して売り込みを図るなど新市場・新分野への進出を後押ししている。「新造船政策・ロードマップ」では、海洋環境イニシアチブなどによる受注力強化として、要素技術を統合した二酸化炭素(CO2)の30%削減船などの「エコシップ」の建造・普及拡大をめざす。
管材新聞 2016年7月27日 第1673号より抜粋
PC
最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
お手間でなければぜひ本記事のご紹介をお願いします。関連記事
-
-
17年度末 建設許可業者数微減 管工事業は2年連続増
国土交通省がこのほど公表した2017年度末(18年3月末)の建設業許可業者数は前年度末比0.1%減と
-
-
6月度産業機械 ポンプ受注13.9%増 製造業・官公需・外需増、非製造業減
産業機械全体では3カ月連続減 日本産業機械工業会がまとめた6月の「産業機械受注状況調査」による
-
-
全管協 「優良事業者認定制度」発足 第1回認定申し込み受付開始
国内唯一の全国規模の管洗浄業界団体として管洗浄業の認知と技術向上をめざしている、全国管洗浄協会(全管
-
-
日本バルブ工業会 バルブフォト五七五コンテスト
日本バルブ工業会は、「バルブは生活、産業を支える重要機器であり、一般の認識を高めたい」として3月21
-
-
クリナップ 料理で認知症予防 全3回セミナー受付開始
クリナップは認知症予防について“作って学べる”セミナーを「クリナップ・キッチンタウン・東京」(新宿シ
-
-
16年度家電リサイクル
環境省はこのほど、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に基づく、2016年度の家電リサイクル
-
-
キッツ 長坂工場に直用水素ステーションを完成 燃料電池車を社用車として活用
キッツは4月6日、同社長坂工場(山梨県北杜市)に直用として建設していたパッケージユニットを用いた水素
-
-
日本バルブ工業会 バルブフォト五七五募集
日本バルブ工業会は、「バルブは生活、産業を支える重要機器であり、一般の認識を高めたい」として3月21
-
-
昨年度設備工事受注0.8%減少と低迷 民間「管工事」7年連続増
国土交通省がこのほどまとめた2016年度の設備工事3業種(電気・管・計装工事の各主要20社)の受注額
-
-
アルミ協会 絵画コンクール入賞作品発表
日本アルミニウム協会は、昨秋から今年1月まで募集した「第6回『アルミと未来』絵画コンクール」の入賞作