17年上半期 造船受注回復 総トンで前年比27%増
公開日:
:
業界ニュース

わが国の造船受注が持ち直している。日本船舶輸出組合まとめによる2017年上半期(1~6月)の造船受注(輸出船契約)は、総トン(GT)ベースで前年同期比127%増の454万5430総トンとなった。16年上半期は前年同期の2割程度にまで落ち込んでいたが、回復しつつある。ただ、受注残は16年6月末に比べ154隻減、536万5250総トン減となっており、いぜん先行きは厳しい。造船業界では、得意としてきたバラ積み船から小型コンテナ船、中型タンカーなどへシフトし、活路を開こうとする動きに拍車がかかりそうだ。
わが国の造船受注は12年まで長期低迷が続いたが、13年になって円高是正などで受注環境が好転して大幅回復、14年も堅調に推移し、15年には前年比50%増と好調に推移したが、16年に入って急激にダウンした。
16年の輸出船契約実績は約371万6000総トンで前年の約2222万1600総トンから83%の大幅減少、隻数で349隻減の75隻と、近年にない激減となり、1992年(約3211万総トン)以来24年ぶりの低水準にとどまった。
17年に入って下げ止まり、1~3月期は前年同期比、隻数で20隻増、総トン数で107万6760総トン増、4~6月期は同25隻増、同146万7920総トン増とやや回復し、上半期合わせて前年同期比45隻増(115%増)の254万4680総トン増(127%増)となった。
17年上半期の受注を船種別に前年同期対比でみると、日本の造船会社の8割以上が建造してきた主力のバラ積み船は36隻増、173万7220総トン増(160%増)、油送船は2隻増、27万2460総トン増(30%増)、前年同期に受注ゼロだった貨物船も7隻・53万5000総トン受注した。
17年上半期の通関実績は、バラ積み船が127隻、471万1282総トン、油送船が19隻、99万6972総トン、貨物船が10隻、97万7956総トン、その他を合わせて158隻、683万3919総トンであった。
17年6月末の輸出船手持ち工事量は513隻、2786万4797総トンで、2年前の15年3月末に比べ203隻減少、754万9040総トン減少し、昨年の6月に比べても154隻減少、536万5250総トン減少するなどじり貧となっている。
引渡し予定は17年度で179隻、939万3357総トン、18年度で192隻、1060万8880総トン、19年度で113隻、646万60総トン、20年度以降で29隻、140万2500総トンとなっている。受注残は18年度でほぼ7割がなくなる計算になり、受注が回復基調にあるといってもそのテンポは緩く、現状が続くと日本の造船業界は厳しい業況を余議なくされよう。
一方、造船各社は主力のバラ積み船から小型コンテナ船、ガソリン・軽油のプロダクトタンカーなどにシフトし、活路を開こうとする動きもみられる。また、国土交通省は、ASEANや新興国を中心に商船隊整備案件やメガフロート技術を用いた海上施設案件の大型案件を官民連携して売り込みを図るなど新市場・新分野への進出を後押ししている。「新造船政策・ロードマップ」では、海洋環境イニシアチブなどによる受注力強化として、要素技術を統合した二酸化炭素(CO2)の30%削減船などの「エコシップ」の建造・普及拡大をめざす。
管材新聞 2017年7月26日 第1709号より抜粋
PC
最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
お手間でなければぜひ本記事のご紹介をお願いします。関連記事
-
-
15年度家電リサイクル
環境省はこのほど、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に基づく、2015年度の家電リサイクル
-
-
1月新設住宅着工、7カ月連続増 貸家・分譲住宅の増加続くも持家減少
国土交通省が発表した今年1月の新設住宅着工戸数は、前年同月比12.8%増(7カ月連続増)の7万649
-
-
モノタロウ 北海道の物流センター稼働
MonotaRO(モノタロウ)は1日、道央札幌郵便局・札幌物流ソリューションセンター内に「北海道ディ
-
-
11月新設住宅着工、5カ月連続増 持家・貸家の増加続くも分譲住宅減少
国土交通省が発表した11月の新設住宅着工戸数は、前年同月比6.7%増(5カ月連続増)の8万5
-
-
昨年のバルブ生産額 5年連続の増加
2018年(暦年)のバルブ生産高(経済産業省まとめ)は、生産金額、生産重量とも前年を上回り、金額は5
-
-
CKサンエツ 3月22日付で東証一部に指定 増配・記念配当を実施
CKサンエツは3月15日、東京証券取引所から承認を受け、3月22日をもって東京証券取引所市場第二部か
-
-
バルブ工業会 環境配慮製品登録制度の運用本格化
日本バルブ工業会は、環境配慮設計に取り組む会員企業の製品の内外へのアピール、環境負荷の少ない製品の需
-
-
日建連98社 15年度上期建設受注
日本建設業連合会(日建連)はこのほど、2015年度上半期(4~9月)の法人会員(98社)の受注調査結
-
-
昨年建設受注6.9%増 設備工事も堅調に推移
国土交通省がこのほど公表した2015年の建設工事受注高は前年比6.9%増と、3年連続の増加となった。
-
-
5月新設住宅着工、2カ月連続増 貸家の減少続く、持家も減、分譲住宅は増加
国土交通省が発表した5月の新設住宅着工戸数は、前年同月比1.3%増(2カ月連続増)の7万9539戸と






