国交省調べ 元請からの「不当なしわ寄せ」減少顕著
公開日:
:
業界ニュース
国土交通省がこのほど公表した2018年度「下請取引実態調査」によると、元請負人からの「不当なしわ寄せ」が大きく減少していることが分かった。調査は全国約1万4000業者に行い、1万1016(事業活動終了業者除く)の有効回答を得てまとめた。調査対象期間は一昨年7月~昨年6月。
調査結果では、建設工事を下請負人に発注したことのある建設業者(9018業者)のうち、建設業法に基づく指導を行う必要のない建設業者(適正回答業者)は554業者(6.1%)で、17年度の前回調査(6.6%)から0.5ポイント減少した。元請負人から「不当なしわ寄せを受けたことがある」と回答した業者は1.2%と、前回調査(8.7%)から7.5ポイント減少した。前々回調査(11.1%)からは9.9ポイント減少しており、6年連続減少するなど「不当なしわ寄せ」は次第になくなりつつある。「不当なしわ寄せ」のうち最も多かったのは前回同様、「下請代金の不払い」(13%)だった。
一方、発注者(施主)から「不当なしわ寄せを受けたことがある」と回答した業者は1.4%で、前々回(3.6%)、前回(1.5%)から減少し、4年連続して減少した。「不当なしわ寄せ」のうち最も多かったのは前回と同じ「発注者の設計図面不備・不明確・設計積算ミス」(18%)であった。
法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)の活用状況については、元請負人から下請負人に対し、標準見積書の提示を全部または一部の下請契約で働きかけている割合は63.9%で前回から3.2ポイント増加した。また、下請負人から元請負人に対し、標準見積書を全ての工事で提出している割合は34.8%であった。
国交省などが取り組んでいる建設業の社会保険加入促進問題についての調査結果では、雇用、健康、年金保険の3保険すべてで建設業許可区分にかかわらず、概ね「加入している」もしくは「適用除外」の状況であった。3保険のいずれかに未加入である業者で最も多かったのは「いずれ廃業する」(37.5%)であった。
「賃金」については「賃金を引き上げた」あるいは「引き上げる予定がある」と答えた業者は82.7%で、前回(80.0%)から2.7ポイント増加した。引き上げの理由としては、前々回、前回と同様に「周囲の実勢価格が上がっており、引き上げなければ必要な労働者が確保できない」(45.5%)が最多であった。逆に、引き上げない理由としては、「経営の先行きが不透明で引き上げに踏み切れない」(42.7%)が最も多く、一部業者の厳しい現実がうかがえる。
管材新聞 2019年1月16日 第1761号より抜粋
PC
最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
お手間でなければぜひ本記事のご紹介をお願いします。関連記事
-
-
「住み替えよりリフォーム」8割超え LIXIL調べ
政府が打ち出した「中古住宅流通市場・リフォーム市場の規模を20兆円まで倍増」計画に則った施策が充実す
-
-
昨年建機出荷額 内需2年ぶり減・外需2年連続増 合計では2年連続増、過去最高を更新 油圧ショベルは内需減・外需増、ミニショベルは内外需とも増
日本建設機械工業会がまとめた2018年(暦年)の建設機械出荷額は、前年比8.1%増の2兆7590億円
-
-
TOTO ドイツ有数のリゾートホテルがNEORESTを採用
ドイツの著名リゾート地にあり、首脳会議なども開催される5つ星ホテル「ホテル シュロス・エルマウ」に、
-
-
中小企業の設備 投資意欲減退局面へ
商工組合中央金庫の今年1月時点の「中小企業設備投資動向調査」で2016年度に国内設備投資を計画(16
-
-
15年度伸銅品需要 当初見通し下方修正 銅管は4.6%減と低調
日本伸銅協会はこのほど、2015年度の伸銅品需要(生産)について当初の前年度比微増予想を下方修正し、
-
-
7月新設住宅着工、ふたたび増加 持家・貸家・分譲住宅とも増加
国土交通省が発表した7月の新設住宅着工戸数は、前年同月比8.9%増(2カ月ぶり増)の8万5208戸と
-
-
ノーリツ 女子大などと連携し、ふろの魅力を発信
ノーリツは「ピースなふろの日」である2月26日に、神戸女子大学と神戸市水道局と連携した「おふ
-
-
国交省 民間工事の品質確保へ「指針」策定
国土交通省はこのほど、民間建設工事について発注者と受注者などの関係者が施工上のリスクに関する事前の情
-
-
配管工は0.4%不足 8職種全体傾向は46カ月連続不足 4月の建設労働需給
国土交通省がまとめた4月の建設労働需給調査結果によると、配管工は前月(0.5%不足)から0.1%縮小
-
-
16年度上期 リフォーム受注27%増 管工事業は住宅で減少、非住宅で大幅増加
国土交通省がまとめた2016年度上半期(16年4月~9月)の建築物リフォーム・リニューアル工事受注額