18年造船受注堅調 急回復の前年実績維持

公開日: : 業界ニュース

日本船舶輸出組合がこのほどまとめた2018年(1~12月)の輸出船契約実績は1078万6371総トン、前年比14%増と、急回復の17年(前年の2.5倍)水準を維持した。造船受注は16年に前年比8割減という記録的な水準に落ち込んでいたが、17年にV字回復し、18年も堅調に推移した。ただ、受注残は総トンベースで17年12月末の94%にとどまり、2年分ぎりぎりの仕事量しかなく、船価も伸び悩んでいる。一方で20年1月に始まる大気汚染防止をめぐる規制強化に伴う新たな需要が期待できることもあり、造船業の景況の先行きは流動的だ。

▼2018年12月末輸出船手持工事量
2018年12月末輸出船手持工事量

同組合の調査は組合員企業が契約した500総トン以上の鋼船が対象。それによると、輸出船受注は15年に前年比50%増となったのち、16年には同83%減と、4年ぶりに減少、1992年以来の低水準に落ち込んだ。17年に入ると徐々に持ち直し、隻数で前年から120隻増(2.6倍)、総トン数で573万7629総トン増(2.5倍強)と急回復、さらに18年は隻数で前年から14隻増加し、総トン数で14%増加した。

船種別にみると、主力のバラ積み船は634万1414総トン、156隻でいずれも前年比横ばいとなったが、貨物船が204万2810総トンで約2倍、隻数は26隻で14隻増と好調だった。油送船も240万1537総トン・14%増、32隻・5隻増と堅調に推移した。

18年の通関実績は、前年比2%減の1092万総トンの201隻であった。バラ積み船が39%減の433万総トン(114隻)、油送船が84%増の377万総トン(57隻)、貨物船が57%増の281総トン(30隻)。

この結果、18年末(12月末)時点の手持ち工事量は17年12月末から約152万総トン減(6%減)の2586万総トン(512隻)となった。受注船の引き渡しは、18年度352万総トン(74隻)、19年度1360万総トン(250隻)、20年度747万総トン(158隻)、21年度126万総トン(30隻)となっている。

造船大手は大型ドックやゴライアスクレーン、大型水槽を新たに整備するなどして開発・設計のスピードアップを図っている。一方、各社とも単独では困難な共通的・長期的な研究課題に取り組むため、海上技術安全研究所(海技研)などの主導で関心ある企業が参加するジョイント・インダストリアル・プロジェクト(JIP)方式の共同研究として「海事クラスター共同研究」も行われている。第1号案件「実海域実船性能評価プロジェクト」として造船・海・舶用事業者など25社体制で17年より3年計画で研究を推進している。

造船各社は、今後、造船需要は多くを望めないとみて、主力のバラ積み船から小型コンテナ船、ガソリン・軽油のプロダクトタンカーなどにシフトし、活路を開こうとする動きがみられる。また、国土交通省はASEANや新興国を中心に商船隊整備案件やメガフロート技術を用いた海上施設案件の大型案件を官民連携して売り込みを図るなど新市場・新分野への進出を後押ししている。

さらに、20年に強化される船の新たな環境規制への期待も広がっている。世界の全海域で強化される排ガスへの硫黄酸化物(SOx)規制を受け、この環境対応需要が18年度中にも立ち上がるとみられるからだ。この分野に強みをもつ日本の造船各社はそれに期待し険増体制の拡充を図る動きが活発化しそうだ。

管材新聞 2019年2月6日 第1763号より抜粋

PC

フローバル ペアコイル

最後までお読み頂き誠にありがとうございます。

お手間でなければぜひ本記事のご紹介をお願いします。

関連記事

管材新聞 アイコン

クボタケミックス 5月21日 塩ビ管・ポリオレフィン管、平均15%以上値上げ

クボタケミックスは4月10日、塩化ビニル管、ポリオレフィン管類を5月21日出荷分から値上げすると発表

記事を読む

管材新聞 アイコン

国交省調べ 元請からの「不当なしわ寄せ」減少顕著

国土交通省がこのほど公表した2018年度「下請取引実態調査」によると、元請負人からの「不当なしわ寄せ

記事を読む

管材新聞 アイコン

水道管の耐震化 14年度末 全国平均36%

厚生労働省がこのほどまとめた2014年度末(15年3月末)時点の水道管耐震適合率は全国平均で36.0

記事を読む

管材新聞 アイコン

古島と日本管材センターが業務提携

古島と日本管材センターの両社は11月1日付で業務提携契約を締結した。 古島は地方を中心に営業基

記事を読む

管材新聞 アイコン

超高層マンション建設・計画約11.4万戸

全国で建設・計画されている超高層マンション(20階建て以上)は約11.4万戸あることが不動産経済研究

記事を読む

TOTOとYKK AP 新潟にコラボショールーム

TOTOは新潟ショールームを拡張移転し、YKK APとのコラボレーションショールームを12 月11日

記事を読む

管材新聞 アイコン

給工財団 給水装置被害状況調査委を設置 東日本震災の被災状況とりまとめ

給水工事技術振興財団はこのほど、東日本大震災給水装置被害状況調査委員会を設置した。同委員会は、調査資

記事を読む

管材新聞 アイコン

東日製作所 最新カタログ「東日トルク機器総合製品案内2018.03」発行

東日製作所はこのほど、最新カタログ「東日トルク機器総合製品案内2018.03」の無料配布とPDFダウ

記事を読む

管材新聞 アイコン

テンプHD子会社 建設現場の女性リーダーを育成

テンプスタッフキャリアコンサルティングは、国土交通省から「建設業における女性の更なる活躍に向けた研修

記事を読む

INCHEM TOKYO

化学産業総合展開催 管材・機器メーカーも多数出展

化学産業を中心とした総合展「INCHEM TOKYO2015」(主催:日本能率協会、化学工学会)が2

記事を読む

PC

フローバル ペアコイル

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

PC

フローバル ペアコイル
電動工具 作業風景
電動工具の種類と選び方から用途別の特徴などをご紹介

大工さんや空調設備、水道屋さんなどのプロの職人さんが使うものから、

〈新製品〉ノーリツ ハイブリッド給湯機『ユコアHYBRID―S』価格を抑えた給湯・ふろタイプ 4月発売

ノーリツ(社長國井総一郎氏)は、省エネ・環境性に優れた家庭用ハイブリッ

〈新製品〉TOTO “気持ちいい”を科学 新「サザナ」

TOTO(社長喜多村円氏)は、戸建向けシステムバスルーム『sazana

ワキタ HPG6500is

ワキタ(本社・大阪市西区江戸堀1の3の20、社長脇田貞二氏、℡06―6

タカラスタンダード第2四半期決算 新築・リフォームとも中高級品好調で増収増益 不透明な市況ふまえ通期予想は据え置き

タカラスタンダード(社長渡辺岳夫氏)が11月5日発表した2020年3月

→もっと見る

  • 配管部品.com

    配管部品 楽天市場店

    配管部品 YAHOO店

    配管部品ドットコム Amazon店

    配管部品ドットコム auPAYマーケット店

    電材部品 楽天市場店
PAGE TOP ↑