水道管の耐震適合率 16年度末 全国平均38.7%
公開日:
:
業界ニュース
厚生労働省がこのほどまとめた2016年度末(平成29年3月末)時点の水道管耐震適合率は全国平均で38.7%と、15年度末から1.5ポイントの上昇にとどまった。浄水施設の耐震適合率は水道管より一段と低い27.9%(同2.1ポイント上昇)で、水道管・浄水施設・配水池を含めた水道管路の耐震化は、老朽水道管の更新と併せ水道事業の最大の課題となっている。
水道管路では水源地から浄水施設に水を送る「導水管」、同施設から配水池に送水する「送水管」、配水池から家庭などへの配水管まで送水する「配水本管」は『基幹管路』と呼ばれる。これら水道基幹管路の耐震適合率は調査を始めた08年度から09年度で2.2ポイント上昇し、以降、10年度0.7ポイント、11年度1.6ポイント、12年度0.9ポイント、13年度1.3ポイント、14年度1.2ポイント、15年度1.2ポイントそれぞれ上昇しただけであり、耐震適合化は遅々として進んでいない。
同省では、水道基幹管路については地盤によって耐震性が大きく左右されることから、耐震管率と耐震適合率を分けている。地震の際でも継ぎ目の接合部分が離脱しない構造となっている管を耐震管といい、16年度末の耐震管率は全国平均で24.4%となっている。これとは別に、耐震管以外でも管路が布設された地盤の性状を勘案して耐震性があると評価できる管などを加えて耐震適合率を割り出している。
16年度末の耐震適合率を都道府県別でみると、神奈川(67.2%)、愛知(59.7%)、千葉(55.1%)、宮城(49.4%)、岩手(49.4%)が45%以上となっているのに対し、秋田(22.8%)、鹿児島(23.3%)、和歌山(23.8%)、沖縄(24.7%)は25%を下回るなど地域間の格差が大きい。
相対的にみて西日本地域の遅れが目立つ。愛知・岐阜・福井ライン以東の23都道県では平均約43%となっているが、三重を含む近畿以西では兵庫(44.1%)、大阪(39.7%)、奈良(41.5%)、山口(39.6%)を除く20府県で全国平均(38.7%)に届かず、20府県平均で約30%となっている。
一方、水道の基幹施設である「浄水施設」の耐震化のペースも遅い。全国平均耐震化率は27.9%で、15年度末(25.8%)から2.1ポイント上昇したに過ぎない。浄水施設は施設の全面更新時に耐震化が行われる場合が多く、基幹管路と比べても耐震化の遅れが目立つ。
もう一つの水道の基幹施設である「配水池」の全国平均耐震化率は53.3%で、15年度末(49.7%)から1.8ポイント上昇しただけであるが、浄水施設に比べ耐震化が進んでいるのは、単独での改修が比較的行いやすいためとみられている。
国では、南海トラフ地震や首都直下地震など発生が想定される大規模自然災害に対し、水道も含めた強靱な国づくりに関する取り組みとして、「国土強靱化基本計画」および「国土強靱化アクションプラン2017」を策定し、水道施設については、基幹管路の耐震適合率を23年度末までに50%以上に引き上げる目標を掲げている。
厚労省が日本水道協会の水道統計を分析したところでは、水道管総延長の1割強が法定耐用年数(40年)を過ぎているという。最近の水道管は耐用年数が長いものもあるが、1970年代やそれ以前に敷設された水道管は耐久性が十分でなく、更新時期を迎えているものが増えている。水道管の破損や水漏れなどは年間2万件以上も発生しており、水道管路の耐震化と老朽管更新は水道事業体の最大の課題となっている。
管材新聞 2018年1月24日 第1727号より抜粋
PC
最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
お手間でなければぜひ本記事のご紹介をお願いします。関連記事
-
-
積水化学 塩ビ管など値上げ 5月22日出荷分から15~20%以上
積水化学工業は、塩化ビニル管および関連製品などの価格を5月22日出荷分から改定(値上げ)すると発表し
-
-
JFEスチール 水道鋼管約15%値上げ
JFEスチール鋼管営業部はこのほど、水配管用亜鉛めっき鋼管(JIS規格G3442、SGPW)の値上げ
-
-
エンジニア ポンプラザウルス「経産省製造産業局長賞」受賞
エンジニアの水回り用プライヤー「ポンプラザウルス」が2018年日本DIY商品コンテスト「新商品部門」
-
-
日本バルブ工業会 バルブフォト五七五コンテスト
日本バルブ工業会は、「バルブは生活、産業を支える重要機器であり、一般の認識を高めたい」として3月21
-
-
LIXIL住生活 高齢者の住まい探し相談サイト開設
LIXIL住生活ソリューションは、高齢者の住まい探しをサポートする老人ホーム・介護施設の検索・相談サ
-
-
10月度産業機械 ポンプ受注19.4%減 官公需・外需が減少幅2ケタ 産業機械全体では2カ月ぶり減
日本産業機械工業会がまとめた10月の「産業機械受注状況調査」によると、ポンプの受注額は、前年同月比1
-
-
17年度末 建設許可業者数微減 管工事業は2年連続増
国土交通省がこのほど公表した2017年度末(18年3月末)の建設業許可業者数は前年度末比0.1%減と
-
-
平成30年度新設住宅着工、2カ年度ぶり増 持家・分譲住宅が増、貸家は減少
国土交通省が発表した平成30年度の新設住宅着工戸数は、前年度0.7%増(2カ年度ぶり増)の95万29
-
-
日本バルブ工業会 ばるちゃん「ゆるキャラグランプリ」エントリー 上位ランクインめざす
日本バルブ工業会はこのほど、バルブのイメージキャラクターである「ばるちゃん」を「ゆるキャラグランプリ
-
-
昨年度設備工事受注 やや回復 2.7%増 「管工事」8年連続増
国土交通省がこのほどまとめた2017年度の設備工事3業種(電気・管・計装工事の各主要20社)の受注額
PC
- PREV
- エンジニア 「ポンプラザウルス」好評拡販
- NEXT
- モノタロウと住友商事 中国でMROネット通販開始