水道管の耐震適合率 17年度末 全国平均39.3%
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厚生労働省がこのほどまとめた2017年度末(18年3月末)時点の水道管耐震適合率は、全国平均で39.3%と、16年度末から0.6ポイントの上昇にとどまった。浄水施設の耐震適合率は水道管より一段と低い29.1%(同1.3ポイント上昇)で、水道管・浄水施設・配水池を含めた水道管路の耐震化は、老朽水道管の更新と併せ、水道事業の最大の課題となっている。昨年12月に政府が策定した「防災、減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に基づく、基幹管路での22年度末の耐震適合率50%の目標に向けた取り組みが期待される。
水道管路では水源地から浄水施設に水を送る「導水管」、同施設から配水池に送水する「送水管」、配水池から家庭などへの配水管まで送水する「配水本管」は『基幹管路』と呼ばれる。これら水道基幹管路の耐震適合率は調査を始めた08年度から09年度で2.2ポイント上昇し、以降、10年度0.7ポイント、11年度1.6ポイント、12年度0.9ポイント、13年度1.3ポイント、14年度1.2ポイント、15年度1.2ポイント、16年度1.5ポイントそれぞれ上昇したに過ぎない。
17年度は簡易水道事業が統合などで約3割減少し、簡易水道事業から上水道事業に移行したものが多かったため、例年より上昇幅が小さかったとはいえ、日本の水道の耐震適合化は遅々として進んでいない。
同省では、水道基幹管路については地盤によって耐震性が大きく左右されることから耐震管率と耐震適合率を分けている。地震の際でも継ぎ目の接合部分が離脱しない構造となっている管を耐震管といい、17年度末の耐震管率は全国平均で24.9%となっている。これとは別に、耐震管以外でも管路が布設された地盤の性状を勘案して耐震性があると評価できる管などを加えて耐震適合率を割り出している。
17年度末の耐震適合率を都道府県別でみると、神奈川(71.3%)、東京(63.3%)愛知(61.0%)、千葉(55.6%)、福島(55.1%)、岩手(49.6%)、宮城(47.0%)、大阪(46.3%)、埼玉(45.1%)、兵庫(45.0%)が45%以上となっているのに対し、鹿児島(22.4%)、徳島(22.6%)をはじめ、秋田、三重、鳥取、島根、岡山、愛媛、佐賀、長崎、熊本、沖縄は25%を下回るなど地域間の格差が大きい。
相対的にみて西日本地域の遅れが目立つ。愛知・岐阜・福井を含むライン以東の東日本の23都道県では平均約43.7%となっているが、三重を含む近畿以西の24府県では32.2%で、全国平均(39.3%)に届いていない。
一方、水道の基幹施設である「浄水施設」の耐震化のペースも遅い。全国平均耐震化率は29.1%で、16年度末(27.9%)から1.2ポイント上昇したに過ぎない。浄水施設は施設の全面更新時に耐震化が行われる場合が多く、基幹管路と比べても耐震化の遅れが目立つ。
もう一つの水道の基幹施設である「配水池」の全国平均耐震化率は55.2%で、16年度末(53.3%)から1.9ポイント上昇。浄水施設に比べ耐震化が進んでいるのは、単独での改修が比較的行いやすいためとみられている。
厚労省が日本水道協会の水道統計を分析したところでは、水道管総延長の1割強が法定耐用年数(40年)を過ぎているという。最近の水道管は耐用年数が長いものもあるが、1970年代やそれ以前に敷設された水道管は耐久性が十分でなく、更新時期を迎えているものが増えている。水道管の破損や水漏れなどは年間2万件以上も発生しており、水道管路の耐震化と老朽管更新は水道事業体の最大の課題となっている。
国では、南海トラフ地震や首都直下地震など発生が想定される大規模自然災害に対し、水道も含めた強靱な国づくりに関する取り組みとして「国土強靱化基本計画」および「国土強靱化アクションプラン2018」を策定し、水道施設については、基幹管路の耐震適合率を22年度末までに50%以上に引き上げる目標を掲げている。
さらに、大規模地震の発生確率の増加、異常気象の頻発・激甚化等を踏まえ、昨年12月14日に国土強靱化基本計画を見直すとともに、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を策定した。同緊急対策では基幹管路において22年度末の耐震適合率を50%とするため、耐震化のペースを1.5倍に加速させるとともに、重要度の高い浄水場・配水場の耐震化率をそれぞれ3%、4%引き上げることとしており、その実現に向けて予算を拡充する。今回の国の取り組み姿勢が全国に広がることが期待される。
管材新聞 2019年2月27日 第1765号より抜粋
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