国交省 公共工事労務単価 平均4.1%引き上げ 7年連続の上昇 配管工は4.2%上昇

公開日: : 業界ニュース

国土交通省はこのほど、3月から適用の公共工事設計労務単価を全職種加重平均(1万9392円)で昨年3月比4.1%引き上げた。労務単価は2013年4月に過去最大の引き上げ(前年度比15%アップ)を行って以降、7年連続で引き上げられ、平均値の公表を開始した1997年度(1万9121円)を上回って最高値となった。「配管工」は全国平均で4.2%引き上げられた。同省では建設技能者の賃金改善をテコに人手不足解消、若年技能者の入職を促す。

公共工事設計労務単価は公共工事などに従事する建設労働者の基準賃金。国交省、農林水産省が所管する公共工事に従事した労働者に対する賃金支払い実態調査に基づき設定するもので、公共工事の工事積算に適用される。ただ、下請契約での労務単価や雇用契約での労働者への支払い賃金を拘束するものではない。今回の新労務単価は昨年10月の調査結果に基づき設定された。

建設業界は、景気回復に伴う受注増に東日本大震災復興需要、東京五輪関連需要が加わって技能労働者の不足が深刻化している。原因は、長期建設不況により他業界に比べて賃金が低く抑えられ、小規模企業では社会保険(雇用・健康・厚生年金)未加入業者が多いこともあって若年労働者の入職率が低下し続けてきたことが指摘されている。

国交省は、建設業への人材確保に向けて待遇改善、社会保険加入促進を図るため、13年度(13年4月)に労務単価を大幅に引き上げたあと、今回を含め7回にわたり引き上げが実施された。

今回から労務費の積算への影響の推移を測るのに適する加重平均(都道府県別・職種別の単価を標本数により重み付けした平均)の新単価が公表された。それによると、3月から適用する新労務単価は全職種・全国平均で昨年3月比4.1%アップの1万9392円で、7回の引き上げ前の12年度に比べ48%上昇した。東日本大震災被災3県(岩手・宮城・福島)の全職種平均は同3.5%アップの2万1105円となった。

設備3業種(配管・ダクト・保温)をみると、「配管工」の労務単価は、97年度の1万9655円をピークに下落を続け、12年度はピークの76%の水準にまで下落、過去10年間で最低となっていた。13年度で一挙に前年度比13%増へ、さらに14年2月5.7%、15年2月1.1%、16年2月1.3%、17年3月4.1%、18年3月2.4%それぞれ上昇し、今回は4.2%引き上げられて2万168円と、2万円台に乗せた。

今回は、沖縄(前年度比10.4%増)を筆頭に九州地区(8県平均8.8%増)と、北関東・関東・信越地区の引き上げ幅が全国平均より高い。前年度に引き上げ幅が大きかった北海道・東北地区については今回は全国平均を下回り、近畿地区も上昇幅1%前後と低い。一方、前年度に下落した中部、四国両地区は小幅ながら引き上げられた。

今回の改訂により、「配管工」で2万1000円超のところは岩手、宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、新潟、富山、石川、静岡、愛知、三重の18都県で、前年度の4都県から大きく増えた。逆に低水準の1万9000円未満は兵庫、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、高知、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄など西日本に偏っている。

空調配管工事の「ダクト工」の全国平均は1万9890円で、昨年3月比4.2%上昇した。ダクト工の単価は関東、中部、近畿地区が相対的に高く、九州地区が低い。配管保温保冷工事の「保温工」は2万1935円で、同4.4%上昇した。保温工の単価は関東で高く、中国、九州で低い。なお、「ダクト」については四国4県で、「保温保冷工」については四国4県と沖縄県でそれぞれ十分な有効標本数が確保されなかったため、新労務単価は設定されていない。

管材新聞 2019年3月20日 第1767号より抜粋

PC

フローバル ペアコイル

最後までお読み頂き誠にありがとうございます。

お手間でなければぜひ本記事のご紹介をお願いします。

関連記事

管材新聞 アイコン

昨年度設備工事受注0.8%減少と低迷 民間「管工事」7年連続増

国土交通省がこのほどまとめた2016年度の設備工事3業種(電気・管・計装工事の各主要20社)の受注額

記事を読む

管材新聞 アイコン

JFE継手 配管用継手など価格引き上げ

JFE継手は、来年2月1日出荷分より一般配管用継手、給水配管用継手などの価格改定(引き上げ)を実施す

記事を読む

管材新聞 アイコン

昨年のエアコン国内出荷家庭、業務用とも不振

2015年のルームエアコン(家庭用エアコン)の国内出荷台数は前年比4.7減と、14年(5.7%減)に

記事を読む

管材新聞 アイコン

クボタ 下水道水処理施設で初のPFI事業に参画

クボタは、大阪市下水道の水処理施設で全国初となるPFI事業に参画すると発表した。同社が出資・参画する

記事を読む

管材新聞 アイコン

TOTO 水栓金具10シリーズをグローバル展開

TOTOは、水栓金具の新10シリーズ約200品番(日本国内は7シリーズ約80品番)を順次グローバル展

記事を読む

管材新聞 アイコン

鋼管技術研究会 活動計画など発表

鋼管技術研究会(代表理事=JFEスチール鋼管企画部部長)はこのほど都内で第2回社員総会を開き、その際

記事を読む

管材新聞 アイコン

18年度末 建設許可業者数微増 管工事業は3年連続増加

国土交通省がこのほど公表した2018年度末(19年3月末)の建設業許可業者数は前年度末比0.7%増と

記事を読む

管材新聞 アイコン

16年度 中小企業の設備投資 6年連続増加へ

中小企業で2016年度に国内設備投資を計画(16当初)する企業の割合は、15年度の当初計画(15当初

記事を読む

昨年度 建設工事の裁判外紛争 141件といぜん多い

建設工事にかかわる裁判外紛争処理機関「建設工事紛争審査会」(中央審査会・都道府県審査会)はこのほど、

記事を読む

管材新聞 アイコン

東日製作所 東京モーターショーで次世代型トルクレンチ提案

10月27~11月5日に東京モーターショー2017(東京ビッグサイト)が開催され、東日製作所が「東日

記事を読む

PC

フローバル ペアコイル

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

PC

フローバル ペアコイル
電動工具 作業風景
電動工具の種類と選び方から用途別の特徴などをご紹介

大工さんや空調設備、水道屋さんなどのプロの職人さんが使うものから、

〈新製品〉ノーリツ ハイブリッド給湯機『ユコアHYBRID―S』価格を抑えた給湯・ふろタイプ 4月発売

ノーリツ(社長國井総一郎氏)は、省エネ・環境性に優れた家庭用ハイブリッ

〈新製品〉TOTO “気持ちいい”を科学 新「サザナ」

TOTO(社長喜多村円氏)は、戸建向けシステムバスルーム『sazana

ワキタ HPG6500is

ワキタ(本社・大阪市西区江戸堀1の3の20、社長脇田貞二氏、℡06―6

タカラスタンダード第2四半期決算 新築・リフォームとも中高級品好調で増収増益 不透明な市況ふまえ通期予想は据え置き

タカラスタンダード(社長渡辺岳夫氏)が11月5日発表した2020年3月

→もっと見る

  • 配管部品.com

    配管部品 楽天市場店

    配管部品 YAHOO店

    配管部品ドットコム Amazon店

    電材部品 ブログ

    電材部品 楽天市場店
PAGE TOP ↑