中小製造業の投資意欲増大傾向続く
公開日:
:
業界ニュース 中小製造業, 中小製造業設備投資動向調査, 投資
日本政策金融公庫(日本公庫)がこのほどまとめた中小製造業設備投資動向調査結果によると、2019年度に計画する設備投資金額(19年度当初計画=19当初)は前年度実績(18実績)比4.9%減となった。ただ、当初計画は控えめに立てられるケースが多いとされるほか、前年同時期に策定された18年度当初計画(18当初)に対し5.7%の増加となっており、投資意欲は昨年度の年初に比べ増大傾向がうかがえる。
調査は経済産業省工業統計調査を基に3万社を対象に4月上旬に実施、1万294社の有効回答を得て分析した。それによると、19年度の設備投資当初計画(19当初)は18年度実績(18実績)に比べて4.9%減の2兆6709億円となった。
一方、「19当初」は前年同時期に策定した「18当初」に比べて5.7%の増加となっていることから昨年より今年の方が中小製造業の設備投資意欲が増大しているとみられる。
業種別にみると、「19当初」が「18実績」を上回ったのは輸送用機器(14%増)、化学(12%増)、食料品(8%増)、非鉄金属(4%増)、業務用機械(3%増)の5業種。
「19当初」が「18実績」を下回ったのは、印刷・同関連(37%減)、木材・木製品(36%減)、生産用機械(24%減)、プラスチック(23%減)、汎用機械(19%減)、繊維・繊維製品(16%減)、鉄鋼(14%減)、パルプ・紙(10%減)、電気機器(10%減)、窯業・土石(2%減)、金属製品(2%減)の11業種。
設備投資内容について前年の当初計画との比較をみると、主力の「機械・装置」では「19当初」は「18当初」から3%減少した(構成比57%)ほか、「船舶、車両、運搬具、耐用年数1年以上の工具・器具・備品等」が16%減少(同8%)、「土地」も37%減少(同4%)した。これに対し、建築・構築物」は2%増加した(同31%)。
「19当初」の主要な設備投資の目的を「18実績」と比較すると「公害防止」が104%増と大きく増え、「新製品の生産・新規事業への進出、研究開発」も4%増となった。「省力化・合理化」(12%減)、「省エネ」(11%減)、「更新、維持・補修」(6%減)、「能力拡充」(3%減)は減少し、生産力増強やコストダウンといった取り組みから公害対応への一層の拡充とともに、新規分野への進出などへ姿勢の変化がうかがえる。
一方、18年度の設備投資実績(18実績)をみると、「17実績」に比べ7.1%増の2兆8090億円と堅調に推移した。前年の「17実績」も「16実績」から7.0%増となっていたことを考えると、このところ設備投資は着実に増大している。
「18実績」が「17実績」より増加した主な業種は「非鉄金属」(58%増)、「木材・木製品」(26%増)、「業務用機械」(23%増)、「鉄鋼」(22%増)、「印刷・同関連」(21%増)、「金属製品」(16%増)、「生産用機械」(10%増)などで、17業種中、11業種で増加した。減少したのは「パルプ・紙」(8%減)、「繊維・繊維製品」(6%減)など。
「18実績」の投資内容では主力の「機械・装置」が7%増(構成比56%)となったほか、「建物・構築物」11%増(同29%)、「土地」3%増(同6%)で、「船舶・車両・運搬具等」は横ばい(同9%)だった。投資目的では「更新・維持・補修」投資の構成比(35%)が10年連続で最も高い割合となった。次いで、「能力増強」(構成比31%)、「新製品の生産、新規事業への進出・研究開発」(同14%)となっている。
海外拠点への設備投資動向をみると、18年度で実施した企業割合は4.0%で、17年度(4.1%)から横ばいとなっている。また、19年度の計画では4.1%となった。企業規模別に海外拠点への設備投資実施割合をみると、18年度では従業員200~299人の中小企業が15.4%減と、15年以降、上昇が続いていた(17年度は16.2%増)ものが3年ぶりに減少に転じた。
また、全体で18年度に海外拠点に設備投資を行った割合はマレーシアや台湾で増加している。18年度の上位3か国への投資目的をみると、中国、ベトナムでは「取引先の海外展開の対応」の割合が一番高く、タイでは「現地・第三国の需要開拓」が最も高くなっている。
管材新聞 2019年7月24日 第1779号より抜粋
PC
最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
お手間でなければぜひ本記事のご紹介をお願いします。関連記事
-
今年度ルームエアコン 生産額3.9%増へ
日本電機工業会(JEMA)このほど、2016年度電気機器の生産見通しについて、ルームエアコンは前年度
-
今年度の白物家電国内生産額は4%減見通し ルームエアコン8%減
日本電機工業会(JEMA)はこのほど、2019年度の電気機器の生産見通しをまとめ、うち白物家電の国内
-
2016年度 下請法違反指導件数 7年連続で過去最多更新
公正取引委員会がこのほど公表した2016年度の下請法違反による指導件数は6302件(別に勧告11件)
-
日本DIY協会 29~31日にDIYショウ
日本DIY協会 29~31日にDIYショウ 日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(会長稲葉敏幸
-
〈新製品〉ノーリツ ハイブリッド給湯機『ユコアHYBRID―S』価格を抑えた給湯・ふろタイプ 4月発売
ノーリツ(社長國井総一郎氏)は、省エネ・環境性に優れた家庭用ハイブリッド給湯システムに価格を抑えた給
-
TOTO 台付シングル混合水栓4シリーズが『レッドドット・デザイン賞2019』受賞
TOTOの台付シングル混合水栓「GMシリーズ」「ZAシリーズ」「GEシリーズ」「GCシリーズ」の4シ
-
TOTOとYKK AP 新潟にコラボショールーム
TOTOは新潟ショールームを拡張移転し、YKK APとのコラボレーションショールームを12 月11日
-
16年度 中小企業の設備投資 6年連続増加へ
中小企業で2016年度に国内設備投資を計画(16当初)する企業の割合は、15年度の当初計画(15当初
-
15年上半期工場立地 件数、面積とも減少
2015年上半期(1~6月期)の「製造業等」の全国工場立地件数は前年同期比7%減、立地面積も12%減
-
4月新設住宅着工、5カ月ぶり減 持家7カ月連続増ながら分譲住宅9カ月ぶり減 貸家8カ月連続減
国土交通省が発表した4月の新設住宅着工戸数は、前年同月比5.7%減(5カ月ぶり減)の7万9389戸と