17年度末下水道普及率 全国平均78.8% 整備人口49万人増加
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国土交通省がこのほどまとめた2017年度末(18年3月末)の全国下水道処理人口普及率は、前年度末比0.5ポイント増加して78.8%となり、下水道整備人口は約49万人増の約1億31万人となった。ただ、普及率は都道府県で99%台から18%台まで大きな格差がある。同省は、人口減少などの社会情勢変化を踏まえた計画構想見直しや集落排水・浄化槽など他の汚水処理施設との連携強化で未整備地域の解消をめざす。
今回調査では、東日本大震災の影響で調査不能な福島県の8町村を除外して集計した。総人口に対する下水道を利用できる人口の割合を示す下水道処理人口普及率(下水道普及率)は10年度末で前年度比91万人増、11年度末同151万人増、12年度末同290万人増、13年度末同69万人増、14年度末同66万人増、15年度末同151万人増、16年度末同56万人増と推移。11、12年度の大幅増加は集計県数が1県および2県加わった(震災で集計除外していた宮城・岩手)のが主な要因と考えられるが、東日本大震災からの復興と合わせた整備効果も含まれるとみられている。
17年度末の都道府県別の普及率をみると、前年度末から伸び幅が最も大きかったのは島根県の1.4ポイント増。このほか、1ポイント以上増加したのは佐賀(1.2ポイント増)、岩手(1.1ポイント増)、三重(同)、広島(同)、栃木(1.0ポイント増)、新潟(同)の6県であった。
政令都市で普及率95%以上は、大阪市(100%、四捨五入)、東京23区(99.9%)、横浜市(同)、のほか、札幌、仙台、千葉、川崎、相模原、名古屋、京都、堺、神戸、広島、北九州、福岡の各市。90%に満たないのは岡山(66.8%)を筆頭に北から新潟(85.3%)、静岡(83.6%)、浜松(80.8%)、熊本(89.5%)の各市である。
ブロック別に普及率をみると、北海道、関東、北陸が全体的に高く、近畿は和歌山県(27.3%)が極端に低いほか、各府県はほぼ80%以上。これに対し、四国は愛媛県の53.7%がトップで、香川県44.8%、高知県38.0%、徳島県18.1%(全国最下位)と普及率の低迷が目立つ。
普及率が全国平均(78.3%)を上回っているのは北海道、宮城、埼玉、東京、神奈川、長野、富山、石川、福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、福岡の15都道府県で、近畿以東に偏っており、中国、四国、九州の17県は福岡(81.6%)、広島(74.7%)、沖縄(71.5%)、島根(70.5%)を除き、70%に届いていない。
国交省は、効率的な汚水処理と未整備地域の早期解消をめざし、人口減少などの社会情勢変化を踏まえた下水道計画の見直し(都道府県構想策定マニュアル(14年)に基づく見直し)や、集落排水、浄化槽など他の汚水処理施設との連携強化をさらに進めるとしている。
下水道計画の見直しでは、人口の少ない地域を合併処理浄化槽などによる整備に変更し、下水道整備予定地域を縮小して市街化区域を重点的に支援する取り組みを展開している。17年度末時点で北海道、福島、神奈川、新潟、富山、福井、静岡、島根、鳥取、高知、鹿児島を除く都府県は「見直し済み」となっている。
また、地域特性に応じた新整備手法の導入・推進を図る「下水道クイックプロジェクト」も従来以上に強力に推進する。同プロジェクトでは、07年度から全国14市町村で新たな整備手法の検討が進められている。検討事例の一つである「クイック配管(※露出配管 既存の水路空間などを活用)」は4市町村で実施され、熊本県益城町の例では露出配管施工部のコスト縮減約80%(約1200万円→約230万円)、工期短縮約58%(31日→13日)などの効果を挙げており、下水道普及促進の大きな手段と期待されている。
管材新聞 2018年9月26日 第1751号より抜粋
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