【セミナーレポート】 低成長市場は宝の山 カクダイ おもしろ水栓「誰や!」シリーズ 開発の舞台裏
4月13日に大阪産業創造館で開かれたセミナー『「誰や!こんな蛇口つくったん?」オモシロ商品が会社を変えた 商品開発の舞台裏』に参加してきました。
【商品力向上セミナー】<実例編>「誰や!こんな蛇口つくったん?」オモシロ商品が会社を変えた 商品開発の舞台裏
スピーカーは株式会社カクダイ 代表取締役副社長の多田修三氏。
数年前に発売したおもしろい形の蛇口「Da Reya(だれや)シリーズ」の生みの親。
「誰や!メタボにしたん?」「誰や!どついて、めいだん?」「誰や!パイプ上向けにしたん?」など、大阪っぽさが伝わってくる水栓で、SNSでも話題になりました。
これはわらわざるをえない(笑)
水道の上向きのパイプをもとに戻そうとしたら…予想外の展開に一同騒然のTL – Togetterまとめ http://t.co/vQDRrV22cQ
あんど商品ページ。上読んでからね(笑)http://t.co/kiC6Eh2ciu
— ゆいぞー (@yuizo3goro) 2015年10月13日
変な蛇口いっぱいあるのー(´▽`)http://t.co/e1PdohwAa2
— †藤堂雷鳥@現実逃避† (@CHICKEN_TODO) 2015年10月12日
これみてすげーって思ったけど、もっとすごいのは、この蛇口売ってるって事だ(笑)>リプ欄で見つけた人の書き込みがあったhttp://t.co/uhUMk2VQ5J
— 颯月りお (@F680_rio_01) 2015年10月12日
セミナーの内容を一部ご紹介します。
※今回は限られた方のみ撮影OKとのことでしたので、セミナー開催前の写真のみで失礼します。
利益を確保するため売上の3割を捨てた
今から15年程前、売上金額は見込めるが利益が取れないNB(ナショナルブランド)商品の取り扱いを徐々にやめることを決定した。直後は売上の3分の1がなくなったが、その後は順調に伸び、現在の売上は当時の3倍に。
成長産業は儲からない
市場成長率が高い商品はライバルが多く、経費もかかる。その中で勝ち残っていくには資本力が必要になり、中小企業は太刀打ちできない。
低成長市場で目立つ商品を
逆に成長率が低い市場であればライバルが少なく、かつてのクレーム履歴が残っているため参入しやすい。この市場で新商品を出すと目立つので話題になりやすい。
メーカー廃番商品でも欲しい人は必ずいる
メーカーが廃番にした商品であっても、それを欲する人は必ず存在する。そういった方達に向けて商品を提供することでファンにつなげる。
シェアが低い商品で価格決定権を持つ
低成長市場商品では短期間に大きな売上成長は見込めないが、我慢して売り続けることで販売側の「言い値」が通るようになり、利益を確保できる。
バカ蛇口はこうして生まれた
「どこにでも取り付けられており飽和状態」「単水栓で水しか出ない」という平凡な商品、蛇口に「おもしろい」という付加価値を付けることで大ヒット!
カクダイは“世界で一番水しか出ない蛇口を持っている”企業になった。
予想外の変化
・販売者の思い出に残る商品になった(「おもしろい蛇口を売った」)
・購入者が品質的信用を裏付けてくれる(「おもしろいけどモノはきちんとしている」)
工場の変化
「なんとか実現させよう」という意識から、当初は難しかった形のものを作れるようになり、鋳物技術の向上につながった。
おもしろ水栓が人材育成に
福利厚生や賃金、職位などではなく、「おもしろいことを考えさせる」またそれを「認めてあげる」「自分で仕事をつくるように考えさせる」ことを徹底し、愛社精神を芽生えさせ、離職率を低下。長期にわたる人材育成を可能にした。
例.展示会のブースをどうする?
「ブースを戦艦大和にしよう」
「大砲は何個置く?」
「角度は?」
「砲丸は出るようにするのか?」
「音が鳴るようにする?」
といったようなことを社員に考えさせる。訓練の機会を与え成功体験を積ませる。人件費は設備投資の一部。
みんなが持っていて充足されているものに付加価値を
どんなメーカーでも毎年商品の1%を廃番にする。そこに「金の卵」が眠っている可能性がある。
例.TOTO株式会社
売上6000億円のうち、1%にあたる60億円分の商品を廃番にする。
たとえその中の1%のシェアを取ったとしても6000万円の売上を確保することができる。
メーカーの新商品ではなく、廃番にした商品に目を向けることが大事。
まとめ
中小企業こそニッチ分野でトップを目指す、ということですかね。
ほかにもカクダイでは、
「バルブ型こしょう入れ」
「蛇口型しょうゆさし」
「ラグビーボール型水筒」
などをノベルティとして配り、会社を印象付けるようにしているとのこと。
商品開発や会社のブランディングなど非常に参考になりました。
ありがとうございました。
PC
最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
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