機械工業生産今年度好転見込む 72兆4347億円、2.3%増、ポンプ・送風機・圧縮機7.5%増
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日本機械工業連合会は、2017年度の機械工業生産額を前年度実績比2.3%増の72兆4347億円と2年ぶりにプラスとなる見通しを発表した。リーマンショックで61兆円まで落ち込んだ09年以降では最高額となり、大分類では8部門すべてが増加を見込んでいる。国内では、人手不足に伴う根強い省力化・自動化のニーズ、オリンピック開催に向けた社会インフラ整備などの投資、税制等の各種政策効果が期待されている。海外では米国、欧州の景気が底堅いほか、中国での半導体関連需要や省力化・自動化投資の伸びを期待している。ポンプ・送風機・圧縮機は合わせて前年度比7.5%増、バルブ・コック・管継手は合わせて0.1%増の横ばいを見通している。
この生産額見通しは、機械工業47団体を対象に調査した結果(日機連が独自に試算した業種も含む)をベースに試算したもの。
「一般機械」は前年度比2.3%増の14兆2210億円となる見通し。ポンプ・送風機・圧縮機」は上半期で前年同期比3.0%増、下半期で11.8%増、通期で7.5%増の5117億円を見通している。
このほかの機種別では、ボイラー・原動機はボイラー・タービンが外需の伸びを期待、はん用内燃機関はガソリン機関が減少するものの、ディーゼル機関とガス機関の増加を見込み、全体で3.6%増。土木建設機械は国内が底堅く推移すると見込まれるものの、海外は中国向けの回復が期待されるが、不透明な要素もあり0.9%減。
油空圧機器は油圧機器が国内は微増、海外は欧米が堅調、中国はショベル需要に期待。空気圧機器は国内が更新需要、海外も期待できることから全体で3.5%増。
ロボットは国内が堅調、海外は中国向けの回復により自動車や電機を中心に伸びが見込まれ6.6%増。動力伝導装置はスチールチェーンの好調を軸に、歯車、変速機も伸びが見込まれ、全体で3.9%増。
金属工作機械は前年度からの回復に加え、国内外ともに高度な技術を駆使した自動化、省力化のための新たな生産体制の構築や、自動車向けの環境対応需要に期待して13.3%増。
第二次金属加工機械は液圧プレスや機械プレスに回復が見込まれ20.9%増。食料品加工機械は食品業界の設備投資が期待され0.8%増。包装機械・荷造機械は国内の設備投資が一巡したとみられるが、海外は中国を中心にアジア向けで緩やかな伸びが見込まれ4.9%増。半導体製造装置及びFPD製造装置は半導体製造装置が引き続きファウンドリや大手ロジックメーカーの底堅い微細化投資に期待でき、FPD製造装置は高精細・中小型パネル用の投資が見込まれるものの、高水準だった前年度からの反動減を勘案し2.9%減。
「電気機械」は前年度比2.9%増の7兆7353億円となる見通し。換気扇は上半期、下半期とも伸び悩み、0.1%減の1079億円を見通している。
このほか、回転電気機械・静止電気機械器具・開閉制御装置は交流発電機の海外向け減少、交流電動機やサーボモータは世界経済の緩やかな回復により増加するなど全体で3.2%増。民生用電気機械は大容量・高機能・高付加価値製品の伸びが見込まれ0.6%増。電気計測器は電気計器、電気測定器、放射線計測器、環境計測器が増加し、全体では1.1%増。
「情報通信機械」は前年度比0.1%増の3兆473億円となる見通し。民生用電子機器は薄型テレビが五輪に向けての買替需要を見込むが、生産の海外移転が進み、カーナビゲーションシステムは高機能化による生産増を見込み、デジタルカメラは一眼レフで伸びが期待でき、全体では2.9%増。通信機器は2.2%減、電子計算機及び関連装置はパソコンが新OSの本格化に伴う買換え需要などにより、全体で1.6%増。
「電子部品・デバイス」は前年度比10.1%増の7兆9966億円となる見通し。電子部品は海外の多機能携帯電話向けの増加や自動車向けの需要増を背景に3.1%増。電子デバイスは、半導体素子でメモリやCCDの増加、液晶デバイスは多機能携帯電話向けの中小型の伸長により12.1%増。
「輸送機械」は前年度比1.0%増の32兆5356億円となる見通し。自動車は国内がエコカー減税の基準強化等によりやや厳しいものの、輸出は米国が底堅く、欧州も堅調が期待され、全体では0.9%増。自動車部品は輸出の伸びに期待し2.0%増。
産業車両は8月末に迎えるディーゼル車の排出ガス規制猶予期間終了によるフォークリフトの駆け込み需要と慢性化する物流業界の人手不足による需要増が見込まれ、全体では2.4%増。航空機は比較的高水準が続くものの、民間向け機種の端境期における減少などもあり、機体、発動機、装備品が増加するも、全体で4.5%減。
「精密機械」は前年度比0.6%増の1兆4758億円となる見通し。計測機器は計量機器の試験機や精密測定機器が国内外とも伸びが期待でき、光学測定機は国内が増加するなど、全体で4.7%増。光学機械は写真機が3.5%減、カメラの交換レンズ・付属品は3.6%減、全体では2.9%増。
「金属製品」は前年度比0.8%増の2兆8777億円となる見通し。バルブ・コック・鉄管継手は国内が復興需要や五輪に向けての社会インフラ投資などの増加を見込み、前年度水準をやや上回るとみている。バルブ・コックは上半期で3.1%増、下半期で2.9%減、通期で0.1%増のほぼ横ばいの4350億円を見通している。鉄管継手は上半期4.1%、下半期1.1%それぞれ増加し、通期で2.6%増の100億円を見通している。
このほか、ばねは0.3%減。機械工具は特殊鋼・超硬工具とも自動車や工作機械向けが堅調で3.4%増、ダイヤモンド工具は研削ホイール、切削工具の伸びが見込まれ1.7%増。
「鋳鍛造品」は前年度比1.2%増の2兆5454億円となる見通し。粉末冶金製品は0.5%減、鍛工品は3.4%増、銑鉄鋳物は0.5%増、可鍛鋳鉄・精密鋳造品は4.1%減、非鉄金属鋳物は1.1%減、ダイカストは2.6%増。
管材新聞 2017年8月2日 第1710号より抜粋
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